ミョウショウ ヒロアキ
MYOSHO Hiroaki
明照 博章 所属 松山大学 法学部 法学科 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2015/08 |
形態種別 | 研究会報告 |
標題 | 正当防衛における急迫不正の侵害―平成21年東京高裁判決を中心に |
執筆形態 | 単著 |
掲載区分 | 国内 |
概要 | 2015年8月8日、第2回松山刑事判例研究会において、「正当防衛における急迫不正の侵害―平成21年東京高裁判決を中心に」をテーマに報告した(会場:愛媛大学)。
刑法36条における侵害の急迫性の要件に関して、例えば、昭和24年最高裁判決は、「『急迫』とは、法益の侵害が間近に押し迫つたことすなわち法益侵害の危険が緊迫したことを意味するのであつて、被害の現在性を意味するものではない」とする。また、昭和46年最高裁判決は、「『急迫』とは、法益の侵害が現に存在しているか、または間近に押し迫つていることを意味し、その侵害があらかじめ予期されていたものであるとしても、そのことからただちに急迫性を失うものと解すべきではない」としている。そして、昭和46年判決と昭和52年最高裁決定の関係をめぐって、一連の「積極的加害意思論」が展開されてきている。 また、自招侵害の事例において平成20年最高裁決定が下されている。平成20年決定の意義は、自招侵害に事例に関しては、侵害の急迫性を否定する事例処理をしないということにある。すなわち、平成20年決定の原判決は、昭和60年福岡高裁判決を起点とする判例群の見解を前提とした理論構成を採用していたが、平成20年最高裁決定によって、これが否定されたのである。 このような中、侵害の急迫性に関する興味深い判例として、平成21年東京高裁判決がある(東京高判平21・10・8東高判時(刑)60巻1~12号142頁、判タ1388号370頁)。本報告では、東京高裁判決を分析した上で、その意義及びあるべき理論構成を考察した。 |