ミョウショウ ヒロアキ
MYOSHO Hiroaki
明照 博章 所属 松山大学 法学部 法学科 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2014/02 |
形態種別 | 学術論文 |
標題 | 共同正犯と正当防衛―侵害の急迫性を中心に― |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 松山大学論集 |
出版社・発行元 | 松山大学 |
巻・号・頁 | 25(6),95-119頁 |
概要 | 本稿では、まず、「侵害の急迫性」の意義を確認し、判例における「侵害の急迫性と積極的加害意思の関係」とその理論的説明について概観する。次に、平成4年最高裁決定を分析し、平成4年決定が前提とした理論的根拠とその問題点を検討した上で、平成4年最高裁決定を踏まえた下級審判例について考察を加える。さらに、自招侵害の事例において正当防衛の成立を否定した平成20年最高裁判決の位置づけを行い、平成20年決定が平成4年決定の判断方法に対する影響について検討を加えた。
平成4年決定は、共同正犯における正当防衛の要件の有無を判断する場合に「個別化」を「真正面」から認めたものと評価できるが、これは、人的不法論(二元的行為無価値論)の見地からみると、妥当な方向に変化していると解される。しかし、共謀共同正犯形態において、共謀者に関して「積極的加害意思」の存在を根拠として侵害の急迫性を否定した点は、香城説を理論的前提にしたものと解されるが、これは、「積極的加害意思」の概念(それゆえ、侵害の急迫性の概念)を規範的に解釈しすぎている点で妥当性に欠けるものと思われる。平成20年決定は、この行き過ぎに対して歯止めをかける意味があるが、判例の変化の方向としては、平成20年決定によって、平成4年決定は影響を受け、「共謀共同正犯形態」において関与した共謀者に関して侵害の急迫性を判断する場合、「積極的加害意思」理論を経由せず、端的に、共謀者の法益侵害の危険性の存否に基づいて判断すべきことが期待されることになるという結論を得た。 |