ミョウショウ ヒロアキ
MYOSHO Hiroaki
明照 博章 所属 松山大学 法学部 法学科 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2003/12 |
形態種別 | 学術論文 |
標題 | 対物防衛の取扱い |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 現代刑事法 |
出版社・発行元 | 現代法律出版 |
巻・号・頁 | 5(56),55-59頁 |
概要 | 対物防衛とは、人間が飼育・管理している動物その他の物による侵害に対する反撃をいう。この場合、物の侵害も「不正の侵害」に当たれば、これに対する反撃を正当防衛と解し得るが、物の侵害は「危難」であるとすれば、これに対する反撃は緊急避難に過ぎなくなる。そして、対物防衛は、物の「侵害」に対する反撃であるから、その不正の「侵害」が「行為性」を要するのかの問題でもある。この点に関して、ドイツでは、刑法32条2項にいう「攻撃」とは、一般に「人間の行為による」法的に保護された利益の差し迫った「侵害」と定義されるため、「動物の攻撃に対する正当防衛は問題にならない」という見解がほぼ「一致して」主張されているが、対物防衛は、物の侵害ないし攻撃が「不正の」侵害ないし「違法な」攻撃に該当するか否かの問題であるから、違法性論の発展に伴い、新たな観点からの再検討が必要となるはずである。それゆえ、対物防衛の問題が「刑法理論の悩みの子」であることは、違法性の議論が進展する限り、不変である。そこで、本稿では、ドイツの議論を前提に「学問上の見解は、まさに諸見解の格闘を通じて進捗していく」という見地に立ち、ドイツでは少数説である「正当防衛肯定説」の立場から検討を加え、わが国の解釈論の深化に資するようにしたい。ただし、物の侵害に対する反撃の法律構成が異なるのは「人の故意または過失に基づく行為による侵害とはいえない場合」に限られるので、ここでは、この場合を議論の対象とした。 |