アキラ カズキ
AKIRA Kazuki
明樂 一己 所属 松山大学 薬学部 医療薬学科 職種 教授 |
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発行・発表の年月 | 1996/01 |
形態種別 | 学術論文 |
査読 | 査読有り |
標題 | NMR Spectroscopic and Theoretical Chemistry Studies on the Internal Acyl Migration Reactions of the 1-O-Acyl-β-D-glucopyranuronate Conjugates of 2-,3-,and 4-(Trifluoromethyl)benzoic Acids |
執筆形態 | 共著 |
掲載誌名 | Chemical Research in Toxicology |
巻・号・頁 | 9,1414-1424頁 |
著者・共著者 | Andrew W.Nicholls,Kazuki Akira,John C.Lindon,R.Duncan Farrant,Ian D.Wilson,John Harding,David A.Killick and Jeremy K.Nicholson |
概要 | 薬物のエステル型グルクロニドのモデルとして,2-,3- および 4-(trifluoromethyl)benzoic acid (TFMBA) のエステル型グルクロニド (1-O-アシルグルクロニド)を合成し,高分解能19F 核磁気共鳴 (NMR) を用いてリン酸緩衝液中 30oC における分子内アシル転位と加水分解の速度を検討した.いずれの TFMBA においても,みかけ上1次速度式に従って分解し,2-,3- および 4-O-アシルグルクロニド(α,β アノマー)が順次生成した.2-,3- および 4-TFMBA 1-O-アシルグルクロニドの分解反応速度定数はそれぞれ 0.065 h-1,0.25 h-1 および 0.52 h-1 であった.半経験的分子軌道法 (AM1,PM3) により,反応性に影響する構造上の要因を計算したところ,2-TFMBA 1-O-アシルグルクロニドの低反応性は,1-O-アシル体から 2-O-アシルへの中間体であるオルト酸エステルの C-O 結合の結合次数によって説明可能であった.また,1 位から 2 位へのアシル転位がトリフルオロメチル基によって立体的に障害されることも低反応性の理由の一つであることが分かった.双極子モーメント,LUMO エネルギー,LUMO 密度およびカルボニル炭素上の求核的フロンテイア密度も反応性と関連することが示された.本研究結果は,アシル転位速度に影響する構造上の要因の解明に寄与し,毒性の点で興味が持たれている薬物アシルグルクロニドのアシル転位反応を理解するうえで重要と考えられる. |