ハタ マサユキ   HATA Masayuki
  畑 晶之
   所属   松山大学  薬学部 医療薬学科
   職種   准教授
発行・発表の年月 2012/01
形態種別 学術論文
査読 査読有り
標題 Prediction of sites of metabolism in a substrate molecule, instanced
by carbamazepine oxidation by CYP3A4
執筆形態 共著
掲載誌名 Bioorg. Med. Chem.
巻・号・頁 16(2),775-783頁
著者・共著者 Hitomi Yuki, Teruki Honma, Masayuki Hata, Tyuji Hoshino
概要 創薬において、リード化合物のADME/Tox特性を改善することはきわめて重要である。シトクロムP450(CYP)は主要な代謝酵素の一つであり、CYPのリード化合物に対する代謝部位は、代謝に対してより安定な化合物を作る上で鍵となる情報である。代謝部位予測において非常に重要な要素は2つあり、1つはヘム鉄に配位した酸素分子(原子)への基質原子の近づきやすさ、もう1つは基質原子の酸化されやすさである。ヘム鉄への基質原子の近づきやすさを予測するため、従来のタンパク固定のドッキング・シミュレーションが行われているが、CYP3A4のようなタンパク質に対しては、タンパク自体の柔軟性を考慮しないと、しばしば正しくない答えが導かれてしまう。本研究では代謝部位予測に複数の初期構造を用いた分子動力学(MD)シミュレーションを行う方法を考案し、CYP3A4とカルバマゼピン(CBZ)との複合体に適用した。5つの異なるCYP3A4-CBZ複合体につき10nsのMDシミュレーションを行った結果、実験で観察される代謝部位を正しく予測することができた。つまり、計算された結合自由エネルギーと基質配置の出現頻度の数値解析により、CBZがヘム鉄に最も近づきやすい部位として、実験的に既知であるCYP3A4によるCBZのエポキシ化部位がうまく予測された。対照的に、タンパク質を固定したドッキング方法では、タンパク質の柔軟性あるいはスコア関数の不正確さのために正しい代謝部位をほとんど予測することができなかった。以上のことから、複数の初期構造を用いたMDシミュレーションによる我々の方法は、代謝部位予測のための信頼できる方法の1つであると思われる。